インド旅行記
8日目 アルチ滞在
(チャチャプリ ゴンパ、アルチ ゴンパ、リゾン
ゴンパ観光)
朝日に染まった高い山の写真を撮ろうと5時半に起きて屋上に登ったらもう日が昇っていて空が明るくなっていた。残念ながら高い山は手前の山に隠れて頂上付近しか見えないので日の出前に起きても良い写真は撮れそうにない。アルチはレーとは違って肌寒いのですぐ部屋に引き揚げる。
やや肌寒いので薄手のジャンパーを着て8時にロッジを出発、歩いてチャチャプリ
ゴンパに向かう。チャチャとはお供えぐらいの小さな仏塔ツァツァのことを指し、プリとはたくさんという意味である。このゴンパは誰がいつ誰が建てたか不明であるが後期密教の壁画が多いことから12世紀末から13世紀頃に建てられたと考えられている。
このゴンパは1階のお堂と3階のお堂からなっており、私有物であったが200年前にリキール
ゴンパに寄付され、現在は子孫の人が管理している。夏になるとリキール
ゴンパから僧が来て子孫の家族のために法要が行われている。
チャチャプリ ゴンパ
子孫の娘さんに鍵を開けてもらって、まず1階建てのお堂に入る。部屋の中央には白い仏塔があり、正面には釈迦如来の壁画が描かれ、周りには小さな釈迦如来像がたくさん描かれてる。雨漏りでかなり傷んでいるが壁画の質は非常に高い。
仏塔 釈迦如来像
次に3階建てのお堂に入1階部分を見る。部屋の正面には十一面千手観音菩薩が祀られている。
十一面千手観音菩薩
周囲の壁にはマンダラや菩薩の像がたくさん描かれている。どれも素晴らしい壁画であるが、入り口側の壁画は雨漏りで消えてしまっている。200年前にリキールゴンパによって修復されているが、原画と比べるとかなり質が落ちる。原画はアルチ寺に見劣りしない素晴らしい壁画なのだが、以前は自由に入ることができたので壁画を守るためパルデンさんが鍵をかけるように指導したという。
ゴンパの前からはアルチ村の畑やインダスの流れが見える。
アルチ村(拡大) インダス川
ついでアルチ寺に向かう。アルチ寺の入り口に、ポプラの葉に似ているが表が青で裏が銀色をしたの葉の木が3本立っている。AD1000年頃大訳経者リンチェン サンボがここに杖をさしてスムダへ向かい、ゴンパを建てて戻って来ると杖が伸びて木になっていたという言い伝えが残っている。原木は20年前に倒れたが3本の木が根元から出て育ったという。倒れる前の原木には幹に洞ができていて子供が15人も入れたという。この木はラダック中を探してもないという。
杖が育った木の子木
アルチ 寺には5つのお堂があるが、まず翻訳官堂に入る。翻訳官堂は訳経者リンチェン サンボが滞在したと言われるお堂で、リンチェン カシミールから連れてきた画家が描いた壁画が残っている。
翻訳官堂(左側)と文殊堂(右側)
1mくらいしかない低い入り口をくぐって翻訳官堂に入ると中央には白い仏塔があり、その上の天井は板を45度ずつずらして交互に重ねて造られていて、仏の像や模様が描かれている。入り口のある南側の壁には宝生如来の千体仏が描かれているが、これらの多くは修復されていてオリジナルの壁画は少ししか残っていない。
西側の壁には阿弥陀如来と観音菩薩を囲んで千体仏画描かれ、北側の壁の中央には釈迦如来、右には観音菩薩、左にはリンチェン
サンボの像が描かれその下には大勢の菩薩が描かれている。北側の壁の前には釈迦如来、観音菩薩、リンチェン
サンボの像が祀られている。
東側の壁は阿閃如来と2つの曼荼羅を阿閃如来の千体仏が取り囲んでいる。天井の中央には大日如来が描かれている。東側の壁は雨による痛みが激しく、西側に壁はひび割れしている。2階部分の絵はほとんど消えてしまっている。
翻訳官堂と並んで文殊堂がある。文殊堂の中央には東西南北の方向を向いた文殊菩薩の像が置かれている。これらの仏像はけばけばしく彩色されているが、東西南北を示す本来の色とは異なっている。200年前に天井が崩れ落ち、75年前に村の人が修復したがそのとき間違えてしまったという。
南面の壁には5仏、西面の壁には阿弥陀如来、北側の壁には文殊菩薩、東側の壁には阿閃如来のマンダラと千体仏が描かれている。千体仏の衣装のデザインはすべて違うように描かれている。壁が天井につながる部分には家鴨の絵がたくさんかかれている。家鴨は仏陀の慈悲の象徴だという。天井には仏陀の衣装のデザインが描かれている。
文殊堂入り口
次に大日堂に入る。入り口の周囲には精巧な彫刻が施され、入り口の右手の壁には観音菩薩、左側の壁には弥勒菩薩が描かれている。
大日堂入り口(拡大) 観音菩薩の壁画
中に入ると正面の北の壁の前には4面の大日如来が祀られている。顔は金色に塗られている。左には宝生如来と阿閃如来が上下に、右側には阿弥陀如来と不空成就如来が上下に祀られている。東、西、南の壁には大きな曼荼羅が2つずつ描かれている。壁画はかなり煤けて黒くなっている。
次に三層堂を見学する。このお堂は3階建てになっていて1階部分だけ入ることができる。入り口の軒下には木彫りの仏像が3つ並んでいる。
三層堂 軒下の彫刻 軒下の彫刻細部
中に入ると中央に仏塔があり、その上は吹き抜けになっていて3階まで見える。西、北、東の壁には凹みがあり、6mから8mある大きな観音菩薩、阿閃如来、文殊菩薩の立像が収められている(現在、堂内の写真撮影は禁止されている。ここに載せた写真は1984年に撮影したもの)。
阿閃如来
立像の左右には菩薩の像が上下2段ずつ祀られている。また立像の上には飛天が2体ずつ置かれている。
菩薩像
仏像の衣には美しい細密画が描かれている。観音菩薩の衣にはたくさんの仏が、阿閃如来の衣には釈迦の一生の物語が、文殊菩薩の衣には84人の成就者の像が描かれている。
観音菩薩の衣 阿閃如来の衣 文殊菩薩の衣
仏像の左右の壁には千体仏が描かれている。 パルデンさんによれば千体仏が着ている衣のデザインはすべて異なっているという。
千体仏
千体仏の中央には見事な仏像が描かれている。
文殊菩薩(拡大)
最後に新堂に入る。新堂といっても800年前に造られたお堂である。お堂の中央には白い仏塔がある。壁画はラダックの職人がリンチェン サンボのスタイルに倣って描いているが、三層堂の壁画と比べると見劣りする。
新堂
ホテルに戻って昼食をとる。今日のメニューは春巻、焼きそば、チャーハンと中華料理だった。
中華料理
食後少し休み13時10分ロッジを出発リゾン ゴンパに向かう。暑くなったのでジャンパーを脱ぎ、半袖シャツ姿になる。緑豊かな村を出ると一気に乾燥地帯になる。道路はアスファルトで舗装されているのでボックスカーは快調に走る。
リゾン ゴンパへの道
工事中のひどい凸凹道を登って35分ほどでリゾン
ゴンパの下に到着した。リゾン ゴンパは俗人だったツルティム
ニマによって建てられた。ツルティム ニマはチベットとチャンタンの間で交易していたが、トリンの寺でよい師にめぐり合い仏門に入った。そしてグゲ王国に言って修行を積んでいたが師にラダックに戻るよう言われて下界から隔離されたこの地で修行した。ツルテンニマの子供もこの寺に入り、妻は近くの尼寺に入った。
このゴンパには大人の僧が25人、少年僧が20人いる。僧たちは釈迦の時代と同じ生活をしていて、夕食は食べない、袈裟や食べ物はすべて寺から支給され金など自分のものは一切持たっていない。
座主は近々ガンデンティバというゲルク派のトップになるというシャル
リンポチェで、ツォンカパの後継者といわれチベット仏教No.2の地位にある。ダライラマはこの寺に3回来ているが、車道がなかったので麓から歩いて来た。
リゾン ゴンパ(拡大)
車を下り急な坂道を登って集会堂の前に出る。わずか5分の登りだが空気が薄いのでかなりこたえ途中で動けなくなって立ち止まっている人もいる。ゴンパの前に谷が見えるが、僧たちはこの谷に沿った細い道を歩いて下界まで出ている。冬になると気温が-35度まで下がるが雪は少ないという。
こんなに俗世間から隔離された場所に住んでいて病気になったらどうするのかと質問した人がいたが、僧たちはストレスの少ない生活をしているので大きな病気にはほとんどならない。小さな病気はアムチ(チベット伝統医学の医者)に見てもらって薬草や鉱物で作った薬で治し、大きな病気の場合はレーの病院に行くという。
集会堂 ゴンパの前の谷
集会堂に入ると正面には釈迦如来、その左には文殊菩薩、右には十一面千手観音菩薩の像が祀られている。釈迦如来の像の前方にはダライラマの法座が置かれている。その左側にはシャジン リンポチェとツルテム ニマが使っていた仏像や仏具がケースに収められている。入り口の向かって右側には守護尊の壁画が描かれているが布で隠されている。タンカがたくさん懸けられているがこれらも布で隠されている。正面に向かって左側の壁には35仏と16羅漢の壁画がある。
釈迦如来像 ダライラマの法座
次に大乗堂を訪れる。大乗堂には中央にチョー シャカムニ像が祀られその右には弥勒菩薩の像がある。チョー シャカムニ像の左側にはパドマ サンババ像がありその左と右に金と銀の2つの仏塔がある。周りの壁には釈迦の一生が描かれている。
チョー シャカムニ像
最後にストーパ堂を訪れる。ここはツルテム
ニマが亡くなった場所で部屋の中央に仏塔が建っている。ここは元集会堂だったところで仏塔は後から建てられた。壁には釈迦と35仏の絵がかかれ、入り口側の壁には黒字に金で護法尊の絵が描かれている。奥に畳1畳の広さもない小さな部屋があるがツルテム
ニマが3年3ヶ月3日修行した部屋だという。
見学を終えて外に出ると側の岩山の肌に法螺貝の形をした岩があった。
法螺貝の形をした岩
17時15分ホテルに戻る。今日もかなり疲れたので夕食後、電気が来るとデジカメの電池を充電し放しにしてすぐベッドにもぐる。