イラン旅行記
14日目 コムを経てテヘランへ
今日はシーア派の聖地コムを経てテヘランに戻り、絨毯博物館と宝石博物館を見てから成田へ向かう。朝食後ホテルの屋上に登るとちょうど朝日が昇るところで山がピンク色に染まっている。この時期のイランはどこでも美しい朝焼けや夕焼けが見られる。
ホテルの屋上からの眺め
7時半にホテルを出発する。ホテルを出たときは雲が多かったが30分もしないうちにすっかり晴れあがった。今回の旅は本当に天気に恵まれている。右手には雪に覆われた中央山脈の山々が続いている。
中央山脈の山
40分ほどでコムに到着した。ここは第8代エマームのレザーの妹で9世紀にコムで亡くなったファーティマの霊廟がありシーア派の重要な聖地になっている。聖地だけに町を歩く女性は皆黒いチャドルで身を包み、頭のスカーフも他の地よりも深くかぶっている。ターバンを巻きひげを生やしたムッラー(聖職者)が大勢歩いている。コムは「ムッラーの製造工場だ」とガイドのメフルダートさんはひやかしていたが歩いている男性の半数近くがムッラーの感じだ。白いターバンを巻いたムッラーと黒いターバンを巻いたムッラーがいるが黒いターバンのムッラーはムハンマドの血を引く人だという。十数代も経つと子孫がずいぶん数が増えるものである。
廟へ向かう女性たち
マアスーメ廟はでサファビー朝のアッバース1世によって建てられた。聖地なので異教徒は廟の中に入れない。入り口で中の写真を撮っているうちに奥に入りすぎてしまい警備の警官から止められてしまったが、済まなそうな顔をして「アイ・アム・ソリー」と言っていた。イランの人は実に謙虚だ。
マアスーメ廟 中庭
見学後、町の中を散策する。門の前には宗教用品の店がありコーランや数珠を売っていた。ソーハーンという菓子を作っている菓子屋があった。ひとかけら食べると甘くてなかなかおいしい。他の人たちが次々と買っているのでつられて買ってしまった。
数珠 ソーハーン
このあとテヘランに向かって出発する。1時間ほど走ると右手の遠方に湖が見えてきた。オーゼ・スルタン湖という塩湖で全面が塩で覆われている。やがて左手に高い山が見えてきた。標高5,670mのレマバンド山でイランで一番高い山である。メフルダードさんはトレッキングのガイドもしていて30回も登っているという。
テヘランに近づくと煙突がたくさん見えてきた。レンガ工場の煙突で今は環境上の問題から操業していない。12時頃市内に入る。左手に高い塔が見えるが建設中のテレビ塔で高さが435mあり、完成すると中東1の高さの塔になるという。
12時25分、絨毯博物館に到着した。当初見学することにしていた絨毯博物館は展示品の入れ替えがまだ終わっていないので、代りにラッサム・アラブザデ氏が開いている博物館の見学である。ここには絵画を複製した新しいタイプの絨毯が飾られていた。なかには総計350万もの結び目があり完成させるのに1万1千時間を要したという絨毯も飾ってあった。
絨毯博物館 絨毯
展示室の隣には絨毯織りの教習所になっていて若い人から年配の人まで大勢の女性が絨毯を織っていた。製作中の絨毯の上には紙に描いた絵が貼られていてそれに合わせて糸を結び付けていく方法が用いられていた。
絨毯を織る女性 製作中の絨毯
この後中華料理店に行ってイラン最後の食事をする。薄口のスープ、大きな春巻、鶏肉の入ったチャーハン、モヤシ炒め、牛肉とピーマンの炒め物、焼きそばなどが出た。予想に反しておいしく、どの皿もすぐ空になってしまった。
腹が一杯になったところで宝石博物館を見に行く。この博物館は中央銀行の地下にある宝物庫で革命前にパーレビ国王が所有していた宝石類が展示されている。中にはカメラはもちろん小さなバッグも持ち込めない。
中央銀行
入り口で厳重な検査を受けて中に入るとまず大きな玉座が目に付く。ベッドのように見えるので前回見たときのガイドはベッドだと言っていたが、メフルダードさんはナディルシャーの玉座と説明していた。この玉座には金貼りの本体に真珠やラピスラズリなど267,333個の宝石・貴石が取り付けられていて絢爛豪華の極みである。分解して運ぶことができ戴冠式に用いられた。ただしここにあるのはレプリカでオリジナルは失われてしまっている。それでも十分すごい。
さらに隣の部屋に行くと大きな部屋一杯に宝石で飾られたさまざまな道具が飾られている。目に付いた主な展示物を紹介すると、
水パイプのカバーと水パイプの胴体:19世紀にガジャール朝が使用したもので彫刻のある金貼りの本体がたくさんのエメラルドで飾られている。
バタハリシャーの玉座:大きなエメラルドがはめ込まれている。12個に分解できる。イラン、インド、中国の技術が組み合わされている。
35kgの金と4kgの宝石で作られた地球儀:陸はルビー、海はエメラルドを貼って地形を表している。イランのところはダイヤモンドがはめ込まれている。
ガジャール朝の大臣がきた服:禁止で織られペルシャ湾で採れた真珠がたくさん縫い付けられている。
パーレビ朝の2代目の王の王冠とシャク杖:王冠は大きく宝石がたくさんついているので重くて上から紐で釣っていたという。
フェラ王妃の王冠:フランス人がデザインした王冠で合計110カラットのダイヤモンドがついている。
光の海:世界一大きいピンクダイヤモンドで182カラットある。
世界一大きなエメラルド:ほかにも大きなエメラルドが多数展示されている。
真珠のカーテン飾り:小さな真珠をたくさんつないで作ってある。
このほか多数のルビー、ダイヤモンド、トルコ石、真珠などが並んでいてこれを見ると宝石を集めることなど馬鹿らしく思えるようになる。
宝物庫を見た後はタジリシュー・バザールを見物した。バスを降りると雲の隙間から差し込んだ夕日が高台の上のビルを真っ赤に染めていた。まるで赤い照明でライトアップしたみたいだ。こういう景色は日本ではめったに見られないがイランでは日常茶飯事だ。それだけ空気がきれいなのだろう。
夕日に照らされる建物
バザールに向かって歩いていく途中も、赤カブを煮ている店やシシケバブを焼いている店などがあり足を止めたくなる店が並んでいる。メフルダードさんが煮た赤カブを買って分けてくれた。8つに分けてもかなり大きかったが水分が多いので腹に収まった。
赤カブ屋 ケバブ屋
果物屋の店先に大きく口を開いたザクロが置いてあった。おいしそうで食欲をそそられたが時間がないので諦めるしかない。
ザクロ
バザールに入るって少し歩くとは右手に聖者廟があった。女性は中に入るには入り口でチャドルを借りて着なければならない。中は鏡張りの広い部屋になっていて棺が収められた囲いがあり、囲いに頭をつけて祈る人、じっとすわってコーランを読んでいる人などが見られた。
バザールに戻り通りをぶらつく。これまでにバザールは何度も見ていて目新しいことはないので、余っていたリアルを使い切るため干しイチジクを買った。日本ではなかなかお目にかかれない大きな干しイチジクだった。